日本銀行券の歴史

日本銀行券(紙幣)の歴史について、戦後のA券の発行から最新のF券に至るまでの変遷を簡単にまとめました。

各シリーズにおける印刷技術、偽造防止技術、素材の変化に焦点を当てるとともに、採用された肖像や図柄の意義を解説します。

1. A券シリーズ(1946年~):戦後復興期

A券は戦後の混乱期に発行され、限られた資源の中で製造されました。

  • 肖像と図柄:
    • A百円券:表面に聖徳太子
    • A十円券:表面に国会議事堂
    • A五円券:表面に彩紋模様
    • A一円券:表面に二宮尊徳

A券では、日本の歴史的人物と建造物が採用され、戦後の日本の復興と伝統の継承を象徴するデザインとなりました。

A百円券

2. B券シリーズ(1950年代~):経済成長と近代化

B券では、経済の発展に伴い、より高度な印刷技術が導入されました。

B券では、明治期の政治家や経済人が採用され、日本の近代化を象徴するデザインとなりました。

B千円券

3. C券シリーズ(1960年代~):高度経済成長期

C券では、高額券の需要増加に対応するため、新たな技術が導入されました。

C券では、一万円券が初めて登場し、日本の経済発展を反映したデザインとなりました。

C一万円券

4. D券シリーズ(1984年~):コンピュータ時代

D券では、デジタル技術の発展に対応した新たな偽造防止技術が導入されました。

D券では、文化人の肖像が多く採用され、裏面にも日本を象徴する図柄が使用されました。これは、経済的発展だけでなく、文化的価値も重視する姿勢を示しています。

D一万円券

5. E券シリーズ(2004年~):高度情報化社会

E券では、デジタル複製技術の進歩に対抗するため、さらに高度な偽造防止技術が採用されました。

E券では、初めて女性(樋口一葉)が紙幣の肖像に採用され、社会の多様性を反映したデザインとなりました。また、日本の文化や自然を象徴する図柄が裏面に採用されています。

E一万円券

6. F券シリーズ(2024年~):最新技術の結集

F券では、最先端の印刷技術と偽造防止技術が結集されています。

F券では、日本の近代化に貢献した人物が選ばれ、裏面には日本の文化や芸術を象徴する図柄が採用されています。これは、技術革新と文化的価値の両立を目指す日本の姿勢を反映しています。

F一万円券

まとめ

日本銀行券の技術的進化は、印刷技術、偽造防止技術、素材科学の発展と密接に関連しています。同時に、各時代を象徴する人物や文化的要素を反映した肖像や図柄の選択は、日本の歴史や価値観の変遷を如実に示しています。

A券からF券に至る変遷は、日本の技術力の向上と文化的価値観の変化を同時に表現しており、紙幣が単なる決済手段ではなく、国家のアイデンティティを表現する媒体でもあることを示しています。

 

さいごに、紙幣の偽造防止技術について、詳しくは国立印刷局のHPに記載されていますので、ご興味がある方は是非ご覧ください。

www.npb.go.jp

 

出典:国立印刷局ホームページ(https://www.npb.go.jp/product_service/intro/kihon.html

www.npb.go.jp